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逃げた先は裏庭の大っきい桜の木のした 結構走った おかげで息はかなりあがっている いいや、きっとそれだけではない。 走ったからうんぬんではない。 僕の家族は絵に描いたような幸せな家族………だった いつもみんなが笑っててあったかくて自慢の家族だった それが変わり始めたのは僕が中学生になり、いじめられ始めたのとほぼ同時。 家族に心配なんかかけたくなかったから誰にも言わなかった 日に日に増えていく痣や傷にも笑顔で 転けただけ といった けど次第に家族に迷惑をかけてしまっていた 母親は子供が僕だということを知られてから他の親からはぶられた 変な噂まで立った おかげで僕の家族をみんなはきたないものを見るような目でみた 父親は俗に言う大手企業の社長であったから世間体を気にしたためか次第にうちに帰らなくなった 母親は痩せて元気がなくなっていった、疲れ果てていた 人一倍優しかった姉は本名で当時雑誌モデルをしていた。 だけどしばらくしたらその苗字は変わっていた 「章ごめんね、でも、仕事に支障をきたすわけにはいかんの。なんもできなくてらごめんね」 と言われた 次第に家族はバラバラになっていった だから僕は考えてしまった ぼくさえいなければ そういわゆる自殺行為 これは未遂に終わったが 両親は 「お前がわからない。わからなくてこわい」 といって僕の元を離れて行った 高校生になった僕は、芸能界にいる姉からのほんの少しの仕送りと自分がバイトで稼いだお金でひとりぐらしをはじめた それからというもの両親とは連絡が全くつかなくなってしまった。 生きてる心地も… 生きる意味も… 今のぼくにはわからへんかった
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