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高校二年になり、今年の春から一人暮らしを始めることになった俺
父親は華道の家元、兼日本最大級の規模を誇る大手IT企業の社長、母親は茶道の家元
祖父は日本舞踊の師と言われた人物で彼は重要無形文化財に
そんな超日本風流を重んじる家系に生まれた何に対しても超やる気も、興味もない俺
金に困ったことはない。
ただ…
しいていうならば…
家系にはさんざんな思いをしていた
家系が家系なだけに周囲からの期待と世間からの重圧にはこりごりしていた。
昔から俺の家はよくいえば自由
悪くいえば放任
俺が自分たちの後を継ぐ気はないとしれば家から追い出す始末
ようやくの思いで足枷から解放された。
これで俺にへばりつく全てのものとはお別れだと思った。
家にいた頃とは違う。
財布、香水、ベット、携帯…
思いつくものを手当り次第に変えて行った。
あんな真っ黒だった髪だって今ではその面影をどこにも感じさせないくらい眩しく仕上がっている
…それなのにいつまでも消えてくれない虚無感
自由を手に入れた俺はなんの変化もなかった。
そればかりか、どこで俺の家系を知ったのか寄ってたかる女たち
生活に刺激が欲しくて有り余ってる金で遊んだ
そりゃ高校生とは思えないほどに
世の中の部活や恋愛をして青春をしている高校生みたいな純粋さは俺にはなくなっていた。
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