プロローグ

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私は一人身悶えていた。 「ああ、私を見て・・・」 「私に話しかけて・・・」 「私を愛して・・・」 私は膝から崩れ落ちた。 「私を抱いて・・・、キスして・・・、全身で慰めて・・・、私を・・・、貫いて・・・」 私は這いつくばい、寝ているイズミを抱き、愛撫し、キスした。 イズミはややさびしげな表情で女を見つめ返すだけ。 私は「ハアッ、ハアッ」と、息を荒くした。 私の願いは絶対に届かない。 むなしさだけが私を支配する。 涙が流れた。 これほどまでに誰かを愛したことがあっただろうか。 もう自分には耐えられない。 「アーン!アーン!」 私は大声を出し、子どものように泣いた。
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