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「私は逆に仕事関係を巻き込みたくない。それに入院患者の樋口さんにはちゃんとした人だと聞いているし」
嫌な相手だった場合断りにくくなるし、職場に知られるのはもっと嫌だ。
「簡単に信じちゃ駄目。男同士というものは、口裏合わせが得意なの。実際彼が医師だと言わなかったでしょ」
「そうだけど・・・、きっと理由があるはずよ」
ずっと思っていたが、遥は男性不信が強すぎる。
遥は高校時代から今まで、顔が地味でも、普通の会社員でも、真面目そうでも、必ず難癖つけて彩葉の交際に反対してきた。
今日の彼のような誰が見ても素敵な男でも遥は反対した。
『それでは一体いつ自分に恋人が出来るのだろうか?もしかして一生できないんじゃないだろうか?』
初めて彩葉は不安になった。
彩葉は23歳。
遥に反対され続けて、この年で一度も彼氏ができないことが段々とコンプレックスになってきていた。
『今回は諦めたくない』
今までは友人の冷静な判断を信じて断ってきたが、今回は最初見た時から忘れられなかった。
だから遥に反抗してでもイズミと付き合ってみたいと彩葉は考えた。
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