芦名彩葉

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樋口はようやく退院許可が出たので、私物の片付けをしているところだった。 突然乗り込んできた二人の顔をみて、すぐに目的が分かった。 『ヤバッ!何か聞かれる前に退散しようと思っていたのに!』 裏取りのため、自分のところに来ると分かっていた。 でも友人を連れてきたことは想定外だ。 遥は詰問口調で樋口に言った。 「どうしてあの人が医者だと言わなかったんですか!?」 「あ、それは、先輩が常々医者目当ての女は嫌いだと言っていたので、言わないほうがいいかと思ったからです。いずれ分かることだし」 「その調子でまだ隠している事はないでしょうね」 遥は樋口を睨んだ。 『何だ?変な女!』 こんな失礼な女にイズミの事など教えたくないと樋口は思った。 「ありませんよ」 彩葉は遥を止めた。 「もういいわよ」 それから樋口に謝った。 「どうもすみませんでした」 彩葉は頭を下げながら、まだ何かいいたそうな遥を連れて病室を出て行った。 すると入れ違いに舞子が入ってきた。
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