125人が本棚に入れています
本棚に追加
樋口も舞子と離れて入院している間にいろいろ考えた。
舞子がそばにいる日常が当たり前になっていたが、しばらく顔を見ないでいたら、寂しくなった。
同棲する前は毎日逢いたくて、空いた時間を見つけては、舞子の家に行ったことを思い出した。
一緒に暮らす中でいつの間にかその気持ちを忘れて、二人の関係をおざなりにしていた。
今回舞子が別れを疑った原因は自分にある。
イズミの言葉を思い出した。
― 交際は今日逢いたい、明日逢いたいという気持ちの積み重ね。逢いたくないと思ったら、それが別れだ。
『それがこれなのか』
樋口はようやくイズミの言葉を心で理解した。
浮ついた気持ちが自分にもあった。
舞子を安心させる為に自分が出来ることはなんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!