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彼女はこういうが、あいにく俺には話を聞く余裕もなかった。それほどまでに俺は追い詰められていたのかと思うと、なんだか情けなくも思ってくるのだが、ここから逃げ出すわけもいかず・・・いやできるなら今すぐにでも逃げ出したいと思っているのだがさっきから足がすくんで動かないのだからこれほど情けない話はないだろう。ともかく・・
「どんなことを言われたって俺は君と付き合うつもりはないよ。」
「それは・・・やっぱり『茜お姉ちゃん』のせいですか??」
・・・どくん!!
その名前を聞くだけで胸が苦しくなって、心臓の鼓動がうるさいぐらいに鳴る。
「・・ぐっ!!」
思わず胸を押さえてうずくまる。目の前の景色すらかすんで見えてきた。
ははっ、俺はまだ『あいつ』のことを引きずっているのか。こんなんじゃあ『あいつ』に怒られちまうな。
なあ、『茜』・・・
俺は美咲の心配する声を聴きながら、意識を失った・・・。
~第3章~
「・・じ・・雄二!!!」
「・・・ん?・・」
「もう!!早く起きなさい朝ごはん冷めちゃうよ!!」
どこか聞きなれた声で目を覚ますと、『僕』の家の隣に住む幼馴染・・いや『恋人』の周防(すおう)茜(あかね)が腰に手をあて、ふくれっ面でいかにも怒ってますよといった感じで立っていた。そんな姿でさえ可愛いと思ってしまう俺はもう彼女に心から惚れてしまっているのだろう。
「ごめんごめん、いまからいくよ。」
そういうと茜は「はやくしてよね!!」といってから部屋を出て行った。
僕の両親は両方とも働いていて家に帰ってこない日もざらにある。そんな毎日を送る両親はまだ小学6年生だった僕を心配してか、もともと仲が良かったお隣さん・・茜の家にお世話になっていた。そのせいで茜のことを好きになっていったのだが・・・
「あ、おはよう!!雄二君!!」
いそいで朝ごはんを食べに行くと、茜の妹・・周防(すおう)美咲(みさき)に声をかけられた。美咲は僕と同い年で茜は1つ上・・つまり茜は僕たちのお姉さんというわけだ。まあじっさいには美咲の方がしっかりしているのだれども。
朝ごはんを食べもう一眠り・・・といきたかったのだが・・
今俺はこの姉妹に連れられ、近くの公園まで遊びに行っていた。
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