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「お母さん、何か知ってるのね?赤い服の女の子は誰なの!?あの子、私を知ってたの!そして、私を守ってくれたのよ!」
私がそういうと、母は私の目をじっと見つめた。
「守って・・・くれた・・・?」
「そう!今日、いろいろあって・・・。私、すごい怖い思いしたの・・・。けど、その子が私を守ってくれたの!」
私の言葉に、母はぽろぽろと涙を流し始めた。
「え!?ちょっと!なんで泣いてるの!?」
「ごめんなさい・・・!私、てっきりあの子があなたを連れて行こうとしていると・・・思って・・・。」
涙を拭いながら母は言った。
「・・・どういう、こと・・・?」
「あなたには、お姉ちゃんがいたのよ・・・。あなたが生まれてすぐに、事故で死んでしまったの・・・。あの公園で・・・。ブランコから落ちたと、警察が言っていたわ・・・。」
「え・・・?お姉ちゃん・・・?」
私がそう聞くと、お母さんは仏壇から一枚の写真を持ってきた。
そこには赤ちゃんの頃の私を抱っこしている、赤い服をきた少女が写っていた。少女はとても嬉しそうに笑っている。
写真の中の少女を見ていると、いつの間にか私の目からも涙が流れていた。
「お姉ちゃんね、あなたが生まれたとき、何度も『可愛い、可愛い』って言っていてね。」
思い出したように母は笑い
「『弥生に何かあったら、私が守ってあげる!』って、よく言っていたのよ。」
と言ったのだった。
「そう、だったんだね・・・。」
写真を見る私も泣きながら微笑んだ。
「お母さん、私、お姉ちゃんに守ってもらったよ。」
私がそういうと、母はうんうんとうなずいていた。
「お姉ちゃん、守ってくれてありがとう・・・。」
写真で微笑む赤い服の少女に、私はそっとお礼を言ったのだった。
『当たり前でしょ!私は弥生のお姉ちゃんなんだから!』
どこからか、そう笑いながら言う少女の声が聞こえたような気がした。
end...
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