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少女が何か言いかけようとしたその時だった。
「弥生ー!!遅いー!!って、どうしたの!?地面に座り込んで!?」
曲がり角からひょっこりと友達が顔を出した。私が地面に座り込んでるのを見つけ、慌てたように駆け寄ってきた。
『友達・・・できたんだね・・・。もう、安心だね。』
少女がにっこり笑って言った。
『もう、私が守らなくても大丈夫かな。』
少し寂しそうに少女はそういうと、すうっと身体が透けていった。
『お父さんとお母さん、大事にしてね。』
そういうと、少女の姿は消えてしまった。
「待って・・・!あなたは一体・・・!」
そう声をかけても、再び少女の姿が現れることはなった。
「弥生!大丈夫!!?」
いつの間にか私のすぐ側にきていた友達が私をゆっくりと立たせた。
「あ、うん。大丈夫・・・。」
先ほど目の前で起きたことがまるで夢だったかのように感じる。
「顔、真っ青だよ!?とりあえず、うちに入ろう!」
ふらふらする身体を支えてもらいながら、私は友達の家へと向かった。
ついさっきまで赤い服の少女がいたその場をチラリと見たのだが、やはりそこにはもう誰もいなかった。
少し友達の家で休憩した私は、友達に家まで送ってもらったのだった。
怖がってはいけないと、友達には公園からの出来事は話さなかった。
貧血でめまいがしてうずくまっていたということにした。
家へ帰ると、母に赤い服の少女のことを話した。
昔と同じように、母の顔がみるみる青ざめていった。
「もう、その話はやめなさい!!」
母のその行動に、母は何か知っているのだと私は確信した。
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