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暗闇の中、二階建ての校舎が月明かりでボンヤリと映る。 二階へと階段を上る懐中電灯。二十代前半の男女が数人、懐中電灯を頼りに歩いている。 「――こんな時間に歩くって、あの頃は絶対に無理だったなぁ」 先頭を歩く男の腕に捕まりながら、女が言った。 「そうだね」 「なぁんか、そっけないなぁ。こっちは結構、ドキドキしているのに」 女は少しムッとする。
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