ダルマサンガ、コロンダ

―１―

――クスクスクス。

「子供の頃って不思議ね。こんな誰が書いたか分からない肖像画の目が動くって、本当に信じていたんだから」

一枚、一枚、有名な音楽家たちの肖像画を照らし、ベートーベンの前で止まった。

「ねぇ。みんなもそう思わな――!?」

女がそう言った瞬間、ベートーベンの瞳から何かが飛び出してきた。

「い、痛い！」

長いモノが女の片方の目に刺さる。