かかる制限

7/12

78人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
須崎はしばらくじっと芳野を見ていたが、ふっとその場から離れた。 スーツの上着を掴むと、 「じゃあ、僕は先に上がります。最後よろしく」 そう言い放つとさっさと出て行ってしまった。 菜波は取り残されたまま、ぽかんとしていたが、ちらりと芳野を振り返る。 一体何を吹き込んだのだろう…ちくりと胸が痛んだがそれをなかったことにして、 再び画面に向き直ってキーボードを叩き始めた。 気付いた時、菜波と芳野の間に流れるのは、有線の音楽だけだった。 キーボードを叩く音が二人しかいない部屋により大きく響いている。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加