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須崎はしばらくじっと芳野を見ていたが、ふっとその場から離れた。
スーツの上着を掴むと、
「じゃあ、僕は先に上がります。最後よろしく」
そう言い放つとさっさと出て行ってしまった。
菜波は取り残されたまま、ぽかんとしていたが、ちらりと芳野を振り返る。
一体何を吹き込んだのだろう…ちくりと胸が痛んだがそれをなかったことにして、
再び画面に向き直ってキーボードを叩き始めた。
気付いた時、菜波と芳野の間に流れるのは、有線の音楽だけだった。
キーボードを叩く音が二人しかいない部屋により大きく響いている。
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