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日に焼けた顔、
紫外線でパサパサに痛んだ髪、
眼鏡の奥の瞳はどこか少年を思わせる。
思わず引き込まれていると、芳野はほっとしたように顔をほころばせた。
「先帰ったかと思ったわ」
「すみません、ちょっと一服しようと思って。
芳野さんもコーヒー飲みますか?」
芳野は頷きながら、給湯室を横切って喫煙室の扉を開ける。
菜波がカップにコーヒーをいれて渡すと、口にタバコをくわえたまま煙に目を細めてそれを受け取った。
菜波の鼓動がぴくんと跳ね上がり、それを悟られないように下を向く。
子供のようでオヤジである。
この相反する芳野の顔は菜波をいつも落ち着かなくさせた。
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