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「んんん~~とっ」
午前中の授業が最後であることを示すチャイムと同時に、私は両手を上に大きく伸ばした。
やっと授業が半分終わった。
今日の授業は退屈だったなぁ。いつものことだけど。
「未来、飯」
私が鞄から手作りのお弁当を取り出していると、そいつはいつものように私を誘う。
「うん」
だから私もいつものようにそっけない返事をそいつに返した。
毎日変わらないこのやり取り。しかしながら、昨日から変わったことがひとつだけある。
こいつが私の中の友達というカテゴリーから、恋人というカテゴリーにひょいと移動したということ。
それでも、私達がすることはあまり変わらない。
一緒に登下校して、一緒に昼食を食べて、一緒に遊んで、そんでたまにお互いの家を行き来する。
そんなありきたりな毎日は嫌いじゃない。むしろ私は好きであると思う。
ただこんな私の胸がチクリと小さく痛むのは、きっとこいつが友達のカテゴリーからいなくなったからだろう。
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