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刹那大型トラックがまるで冷やかすみたいに、ブロロロロと人気の無い公園の近くを走り去って行った。
残された静寂の中、夜空の主役に照らし出された私達脇役の、重なり合ったその影が、くっきりと地面に姿を現す。
「帰ろっか」
「そうだな」
私はそっと、寄りかかったこいつから体を離す。
月明かりで明るい道を、私達は手を重ねて駅へと向かう。
無言の中にそいつの存在を感じながら、私は密かに感じていた。
私達のカンケイは多分、2度と前には戻らないと。
でもきっと、これからどうなったとしても、今のこの変わってしまったカンケイに悔いは無い。
その日私は今までの日常が少しずつ、その形を変化させていることにやっと気付いた。
私のファーストはほんのりしょっぱくて、切なくて。
少女漫画の甘酸っぱさとは程遠かった。
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