コンセントの奥

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「そんな男はやめなよって言われたから」 「え?」 友香がこちらに一歩近付いてきた。 「あの子も昔、同じような男に騙されたんだって」 ふふ。また笑った。カーテンの隙間から外の明かりが入ってきている。その明かりが友香の顔を照らした。美紀は目を見開いた。 「誰なの?」 友香の顔じゃない。声は確かによく知る友人の声でも、顔は別人だ。口の形や目の形が…彼女の目が… 「その目は…」 彼女の左目は腫れていた。まぶたが切れ、目が血走り、目玉はあらぬ方向を見ている。ああ、と彼女はまぶたを押さえた。 「あなたがさっき蹴ったんじゃない」 友香の声が二重に聞こえた。 ああ、彼女だ。 壁の中で、張り巡らされた電気の中で、彼女の無念は生きていたんだ。 だが、もう一切が手遅れだった。 END
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