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「何もありませんよ?」
美紀も周りを見回したが何も落ちていない。
「わたぼこりでも踏んだのかなあ。一瞬黒いものが見えた気がしたんだけど」
転びかけた言い訳にしか聞こえませんよ、と優介君が鼻で笑う。この2人は本当に仲良しだ。お約束のけなし合いは、みんなが来るまで続いた。そのときはまだ、何も気にはならなかった。
翌日、美紀が委員会で遅れて部活に行くと教室が明らかにざわついていた。
「…どうしたの?」
面食らった美紀は近くにいた後輩に尋ねた。すると後輩の女の子は気まずそうに「友香先輩が…」と言いかけて黙ってしまった。
「嘘じゃない!!もう、こんな教室いたくない!!」
友香の方を振り返った美紀は、友香が後輩を押しのけて出て行ってしまったのを見てますます困惑した。
「先輩、ちょっと…」
優介君に導かれて美紀は教室の外に出た。
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