プロローグ

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 私がここ、県立福寄高校に入学してもう三か月が過ぎた。  桜の花びら舞い踊る春が過ぎ、うっすらと緑が茂り始め、そして…。  「あっつい…」  七月、日本で使われている太陰暦的にはもう夏になっていた。  「え、今何か言った、蓮華(レンゲ)?」  「え、ええ? あ、いや、随分暑くなってきたわね、と」  おっとと、私としたことが、あまりに強烈な夏の日差しに、思った言葉をそのまま口にしてしまったわ。  「そうだねー。もう七月だし、歩いてるだけで汗かいてきちゃうよぉ。もうサイアクー! それに比べて蓮華ってば…」  隣を歩いている幼馴染みAは暑さによるしかめっ面を私に向けて、下から上にかけて眺めてきた。
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