柏原水憂

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ふいに頭上から 声が降ってきた。 「なっ!?だ、誰…!?」 私は慌てて広げていた テストをスカートの ポケットにしまった。 ガサガサっという音と 同時に男の人が木の 上から現れた。 「お前、そんな点数で 落ち込んでんの?」 私の質問なんかスルーで 私のポケットを指差しながら 言った。 「そんな点数って…20点だよ?」 「気にするほど悪い点か?」 20点が悪くない点って ことは…。 「…もしかして、数学、アンタはもっと悪いの?」 「ぃゃ?」 (ほら)と言いながら ブレザーのポケットから 出した数学の答案用紙には 大きく82点の文字。 その紙は風になびいて ひらひらしている。
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