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こうして、少女の唯一の幸せな時間はズタズタにされて終わった。
この日が初めてではない。
今まで何度もこういうことはあった。
その度、少女は唇をぐっと噛み締め、自分の情けなさに泣き出してしまいそうになるのをひたすら我慢した。
そう、誰も悪くない。
悪いのは自分だ。
自分が弾くピアノはただの自己満足で、他人が聴くそれはあまりに聴き難い音を奏でているに違いない。
少女はそう自分に言い聞かせた。
そうやって、自分を苦しめていた。
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