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「素晴らしいです。
あなたは優秀な生徒ですね。
先生は今の歌声、とても感動しましたよ。
ノートにもしっかり書いておきますからね。」
先生はパチパチと拍手をして少女にそう言った。
「あ、ありがとうございます。」
少女は自分の顔が赤みを帯びているであろうことに気づいて、さらに少し恥ずかしくなった。
でも、それ以上に、今までの人生で一番幸せを感じている自分もしっかり感じていた。
「今日のレッスンはこれで終わりにしましょう。
今夜はまた雨の予報が出ていますから。
おうちに帰ったらノートを忘れずにお母さんに見せるんですよ。」
「あ、はい。
ありがとうございました。」
本音を言えば、少女はまだ歌いたかった。
でも、このまま、満たされた気持ちのまま、また明日から頑張りたいと思った。
来週の歌のレッスンを楽しみに。
少女は、陽が落ちて暗くなった道を真っ直ぐ帰った。
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