第2心

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まだこんなにも小さな子猫が捨てられてるのを見たとき、玲央は何を、思ったんだろう。 「こんなに小さいのに、一生懸命生きているんだね。きっと」 「ん。絶対」 玲央にも何か、暗い闇を抱えていることは出会った時から分かってはいた、けど。 今はまだ、そこに入り込むことは、しない。 「よし、じゃぁさっそく名前をつけないとね」 この世は名前に、満ち溢れている。 名前がないと呼べないから、人は名前を、つけたがる。 「名前、考える」 名前があるから、名前がないと不安になるんだ。 「どうしよっかなー。この子は何が好きなの?」 「……分からない」 「じゃぁよくやる仕草とかは?」 「……体を舐める」 「それは猫なら本能的にやるやつですね。んー瞳が綺麗だからルビーからとってルビとか」 「………」 あ、気に入らなかったんだね。 それにしても動物を飼ったこともなければ、名前を考えることなんてしたことがないからなぁ。 結構、難しいものだ。 「……悠の名前、もらう」 「はい?」 それはつまり、私と同じ「ユウ」にするってことですよね? 「ダメ?」 「いやいや、ダメも何も玲央は紛らわしくないわけ?私とこの子が同じ名前だと呼ばれたとき、困るんですが」 「……そっか」 まぁ玲央らしいって言えば玲央らしい。 「あ、そういえばこの子はメス?オス?」 「オス」 「え、そうなの!?こんなに可愛いオスもいるんだねぇ」 そんなこと言ったら玲央だって男だけど可愛いから、やっぱりこの子は玲央に似てるかも。 .
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