第2心

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「レイ」 「え?」 「うん!レイがいい。なんか一番ピンとくる」 「……レイ」 ふと浮かび上がった、普通と言えば普通の名前を、玲央は噛みしめるように口にする、と。 レイと呼ばれた子猫は、「にゃぁ」と可愛らしく鳴いた。 「気に入ったみたい!よし、これからお前はレイね」 レイを抱え上げて頭を撫でると、ペロッと私の頬を舐めた。 「レイ。名前呼ぶと、嬉しい」 「そう?」 「名前を、忘れられると、悲しい」 意味深な発言をする玲央を、思わず見上げるけど、優しく微笑んでいる、だけ。 名前は、ただの呼び名なのに、名前をつけると、安心してしまう。 この世に存在している証、だから。 「だけど、名前にとらわれすぎちゃダメだよ。名前は名前、ただの呼び名。それに安心してはダメ」 名前を大切にしすぎると、存在の意味が見えなくなってしまう。 「ん。レイの存在、大切」 私の想いが上手く伝わったのか、玲央もしっかり頷いてくれた。 「悠、歌って?」 レイに猫じゃらしや小物を使って一緒に遊んでいたら。 その様子をくすくす笑いながら見ていた玲央が、呟いた。 そんな玲央に、微笑んで見せて。 オレンジの歌を、歌おう。 .
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