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目が覚めたときには、カーテンの裏に隠れている空は黒に染まり始めていて。
壁に背をつけ、寝ていたはずなのに、布団が敷かれた上に、しっかり掛布団もかかっていた。
私の膝の上で丸くなっていたはずのレイの姿も、隣で私の肩に頭を乗せていた玲央の姿も、そこにはなく。
ゆっくり体を起こして、周りを見回した。
目の前にあるダイニングもキッチンも、しん、と静まりかえっている。
ここが玲央の家であることには間違いないんだけど、一体玲央はどこへ行ったんだろう?
って、今は何時だ?
すぐに携帯を探して、布団の真横にあったのを見つけると。
「19:37」と表示されていることに、思わず目を疑った。
確かここに来たのは午前中で、玲央たちが眠ったのは14時ごろだったはず。
それから私もすぐに寝てしまったから、かれこれ5時間以上は眠っていたことになる。
平均睡眠時間が3時間の私にとって、信じがたい出来事だ。
いくら玲央の家とはいえ、人様の家に1人残されてると不安になる。
とりあえず、布団をたたみ、ダイニングへ移動した。
「あ、携帯……」
携帯で玲央に電話をすればいいんだ、と今さら気付き、すぐに発信ボタンを押した。
しかし、聞こえてくるのは無機質な機械音、だけ。
諦めて電話を切り、部屋の中を見回すけど、レイの姿さえ見つからない。
……どっかに出かけているのかな。
鍵も持っていない私は、家から出ることもできない。
かと言って、他人の家に1人いるのも、なんだか落ち着かないし。
どう、しよう……。
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