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キオクの中の曖昧な箱、箱の中の曖昧な幼い、私。
カギを失った今、それを開ける術はないのだけれど、も。
ただ、幼い私のキオクが、今の私の記憶、と。
重なる。
でも、不思議と、いつもの夢のように苦しいものではなく、穏やかな感情のまま、目が覚めたのは。
玲央とレイの温もりに、安心していたからかも、しれない。
だから目覚めたときに、玲央たちの姿がないことに。
不安を、感じたんだ。
この時の私は、まだ、知らない。
玲央がどんな想いで、外に出かけていたのか、を。
それを知るのは、もう少し先の、私と玲央の関係が少し、ずつ。
変わっていく、とき。
END
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