第3心

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秋色がついた風の季節。 広すぎる家の庭に咲くのは、「暑い夏をご苦労様」とアメリカンブルー。 優しげなその笑顔はそんなふうに言ってくれるようで、ひっそりと咲いてくれていたんだ。 鮮やかな色を、霞んだ僕の前でも。 今日も何も変わることなく学校を終え、授業で学んだことの復習を、する。 シャーペンが文字を並べる音と、たまに教科書をめくる音だけが、部屋の中をうろつく。 3時間ほどしたところで、ちょっと休憩をするために、リビングへ降りた。 父の部屋の明かりがついているから、今日は珍しく早めに帰っているようだ。 ……別に、いてもいなくても同じだから気にはならないけど。 スッキリと片付けられたリビングを通って、キッチンに立つ。 小腹が空いたからパスタでも茹でようかな。 幼いころから、母には音楽だけではなくて、料理も教わっていたからある程度のものは作れるように、なった。 今となっては、自分の手料理を食べてくれる人も、大好きだったテナーサックスを吹いている自分の姿を見てくれる人も、聞いてくれる人、も。 どこにも、いない。 カルボナーラの乗った皿を手に、ウッドデッキへと移動する。 小さな照明1つだけで、僕には十分、明るく見えた。 イタリア製の高級なイスに腰かけ、庭に咲く、アメリカンブルーを見つめる。 青は愛の色だったかな、と考えるけど、思い出せなくて。 近付く秋は漂うような、はっかの香りがする。 アメリカンブルー、醒めた夏の、花。 .
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