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「神崎悠です。よろしくお願いします」
高校1年の4月も終わるころ、まだ入学して1か月も経たないころ。
転校生が、俺たちのクラスに入ってきた。
綺麗でサラサラの黒髪、透き通った白い肌、折れそうな細い腕、整った顔に。
興味を示さない男など、いない。
その雰囲気からは大人しそうな性格を想像していたが、実際話してみると。
「聞いてよ!この前たこ焼き屋でたこ焼き買ったらたこが入ってなかったの。んで、おっさんに文句言ったら『鯛焼きに鯛入ってるんか?おお?』って言われたー。爆笑」
「いやいや、そこ怒るとこだから。笑うとこじゃないから。たこ焼きにたこは命でしょ」
サバサバしていて気さくに誰にでも平等に付き合う彼女は、まだクラスに馴染めていなかった生徒も巻き込んで。
クラスにすぐ、溶け込んだ。
特に青田愛花と気が合うらしく、常に一緒に行動するのかと思いきや、1人であちこち動き回ったりもする。
とても、変な奴だった。
彼女の取る行動1つ1つが面白くて、俺は密かに観察。
「大高!どうして校長のあだ名がシュガー&ソルトなのか分かったよっ」
「マジで!?」
「本名が佐藤俊夫だからさとうとしお、さとうと、しお。だからシュガー&ソルトなんだよー」
「おぉ!すげぇ。今度使おうぜ」
「いえす!」
一緒にバカ言い合うことも日常的になり、彼女への気持ちが少しずつ、『興味』から『恋』に変わって行った。
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