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「好きだ」
告白をした翌日、抱きしめた彼女の華奢な体の感触がずっと頭から離れない1日を、過ごした。
吹奏楽部のトレーナーとして学校にいた春日井煌、という人物が邪魔に入ったけども。
もし、あのまま欲に負けて彼女にキスをしていたら、取り返しのつかないことになっていただろう。
だからある意味、あの場面で登場してくれたことに、僅かばかりの感謝を、した。
まぁ、それでもかなりイラついたし、あの後、彼女を追いかけなかった自分にも、腹が立ったけど。
想いを伝えられたことに、後悔はしてない。
これ以上のことは望んでいない、と言ったらそれは嘘になるが、これ以上のことを望んで今まで築き上げてきたものが崩れることを、考えたら。
それこそ、俺の花は散り、見るも無残な状態になっていただろう。
学校の都合で登校することになってしまった、日曜日。
午前中しかなかったため、後ろにいる彼女とは一切言葉を交わすことはなかった。
俺は学校に行く、というだけで心臓が持ちそうになかったのに、彼女はどっからどう見ても、普段と何も変わらなかった。
しかもその日は、ものすごい速さで月次と学校を飛び出して行き、俺のことなんて気にも留めていないかのよう、に。
一度も俺のほうを、見なかった。
それがかなり、悔しくて悲しくて苦しくて、怖くて。
もう二度と、前のように戻れないのかと、この時初めて、自分の想いを伝えたことに、後悔を覚えた。
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