2

9/29
前へ
/397ページ
次へ
「チカもオーディション受ければ? 益子(ましこ)さんが、いくつか話を取ってきてるらしいからさ」 「…………うん」 (まな)ブンの言葉に曖昧にうなずきながら、エレベーターを降りる。 ちなみに益子(ましこ)さんとは、俺たちのマネジメントをしてくれている、事務所の社員の女性である。 ひっつめ髪に、カマキリみたいなオバサン眼鏡。 色気のないスーツに、ローヒールのパンプス。 いつもせかせか忙しくて、24歳にして、すでにお局様(つぼねさま)の風格を(かも)し出している事務所の元締(もとじ)め的存在の人だ。 浅倉社長ですら、彼女には頭が上がらないし、俺に至ってはたまに話しかけるのも怖いと思うことがあるのに、学ブンは全くそんなこと頓着(とんちゃく)しないらしい。 と、言うよりも 「益子さんってさ、脱いだら絶対エロい体してると思うんだよね。 ああ言う、強気な女ってベッドで服従させてみたくならない?」 このエロ魔王にとっては最強お局様だって、乱れた性生活の対象なのである。 学ブンのストライクゾーンの広さはある意味尊敬する。 まあ、軽蔑の度合いの方が上だけど。
/397ページ

最初のコメントを投稿しよう!

842人が本棚に入れています
本棚に追加