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「チカもオーディション受ければ?
益子さんが、いくつか話を取ってきてるらしいからさ」
「…………うん」
学ブンの言葉に曖昧にうなずきながら、エレベーターを降りる。
ちなみに益子さんとは、俺たちのマネジメントをしてくれている、事務所の社員の女性である。
ひっつめ髪に、カマキリみたいなオバサン眼鏡。
色気のないスーツに、ローヒールのパンプス。
いつもせかせか忙しくて、24歳にして、すでにお局様の風格を醸し出している事務所の元締め的存在の人だ。
浅倉社長ですら、彼女には頭が上がらないし、俺に至ってはたまに話しかけるのも怖いと思うことがあるのに、学ブンは全くそんなこと頓着しないらしい。
と、言うよりも
「益子さんってさ、脱いだら絶対エロい体してると思うんだよね。
ああ言う、強気な女ってベッドで服従させてみたくならない?」
このエロ魔王にとっては最強お局様だって、乱れた性生活の対象なのである。
学ブンのストライクゾーンの広さはある意味尊敬する。
まあ、軽蔑の度合いの方が上だけど。
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