842人が本棚に入れています
本棚に追加
ビルの五階でエレベーターを降りる。
エレベーターホールの先には白い壁の廊下が伸びていて、会議室、応接室、資料室、事務室等のドアが並んでいる。
俺たちは一番手前にある、事務室のドアをノックした。
「!」
ドアを開けた途端、そこに人が立っているのに気づいて、驚いて立ちすくんだ。
相手も同様にびっくりしたように、俺たちを見てる。
さらさらの黒い髪。高い身長。手足の長い伸びやかな体。
多分、モデルだろうけど見慣れない顔だ。
強い意思を持ったように輝く、黒曜石みたいな目が印象的で、俺はなぜかボンヤリと彼女に見とれた。
「チカ?邪魔になってるぞ」
学ブンに襟首を引っ張られて、ハッとする。
「あ、すみません」
脇に避けて道を作ると、
「ごめんなさい。ありがとう」
彼女はにこりと俺たちに笑いかけて、
「失礼します」
と、部屋の中に一礼して去っていった。
最初のコメントを投稿しよう!