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「騒がしいわね。
どうしたの?」
ピンヒールの踵を鳴らして入ってきた彼女の登場で、周りの空気が一瞬にして変わった。
長い睫毛に縁取られた艶やかな大きな瞳、綺麗に通った鼻。
ふっくらした官能的な唇。
その唇の右下には、さらに色気を助長させる小さなホクロ。
綺麗に巻いた髪は蓮と同じで少し色素が薄い。
体に沿ったデザインのブランドスーツを、さらりと着こなし、高価な小物類よりも輝きを放つ、圧倒的なオーラを持った女性。
浅倉詩緒。
天使のような蓮の母親にして、20代30代女性のカリスマと崇められるトップモデルだ。
「ママ!」
「詩緒さん!」
「いつ日本に戻られたんですか?」
頬をピンクにして母親に駆け寄っていく蓮を追うように、みんなが彼女に近寄っていく。
「うお。
詩緒さん、マジ色っぽい。やベーなチカ」
興奮した学ぶんに背中をバンバン叩かれながら、俺はアホみたいに口を開いたまま詩緒さんに見とれた。
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