2

2/29
前へ
/397ページ
次へ
「ねぇ、いいじゃんチカ。 そんなに真面目に考えなくてもさ」 鼻にかかった声が甘く誘う。 首に回るしなかやかな腕に軽く力がこもった。 押し付けられる肉感的な胸と、扇情的(せんじょうてき)な細い腰。 「やめてくださいよ。 真希さん彼氏いるじゃないですか」 「えー。ナイショにしとけば平気だよ。 チカだって本当はあたしに興味あるんじゃない?」 上目使いの潤んだ目が挑発的に笑う。 グロスで濡れた、柔らかそうな唇が焦らすようにゆっくり近づいてきた。 「ねえ、今夜どう?」 耳元で囁かれて甘い息が、頬にかかる。 自分の魅力の引き出しかたや、見せ方をよく心得ている、 自信に満ち溢れた、狡猾的(こうかつてき)な女。 流石はプロのモデルってとこかな。 ………なーんて、冷静でいれるほど、俺は大人じゃないんだって!
/397ページ

最初のコメントを投稿しよう!

842人が本棚に入れています
本棚に追加