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「なに?また竜行さんがどっかで人質にされたの?」
「よっちゃんが進化した!」
「戌が遂に骨折。」
「ひどっ!」
「戌が遂に退部。」
「ちょ、善村さんまで!」
「そんな事より、何がニュースなの?」
「新入りが来た、らしい。」
一斉に湧き上がる喜びの歓声。俺も負けずに腹から声を出す。
でも、なぜか、矯に怒鳴られた。
お前の方がうるさいしー。
チャンスとばかりに、
今の今まで一緒に騒いでいた仲間は、手の平を返したように
矯と同じことを俺に笑顔で言い寄る。
悔しいから、矯の背中に回り、
「いけ、キョウチュー!奴らに100万ボルト!」
「お前にアイアンテール。」
トレーナーに刃向う前代未聞の瞬間。
見事に脳のど真ん中にチョップが入り、
頭を抱え、崩れる俺ぇ~♪
いつもの如く、
善村さんが走り寄ってきて、
傷をフーフーしてくれるのだが、
髪が顔に当たってきて、かゆいだけさぁ~♪
「と、いう事で。」
いつものように、俺を置き去りに話が進んでいく。
善村さんは、
ただ、
ただ、
フーフーしてくれる。それが、逆に、切にゃい……。
「な、泣くな!舞香が傍にいるよ!」
よしよし、と撫でられる。
しなやかな手で、撫でられる。
フーフーしながら、撫でられる。
床の汚れを雑巾でおとすようにゴシゴシと拭か…撫でられる。
噴水のように涙が流れる事ってありえない、と思ってた。
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