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みんな片手に割り箸を持っている。 しかも、箸の先には、みなさん揃って色が無い。 残る一本、想像は現実となるだろう。 「ボーっとしてるからよ。」 「っ……きゅぅぅん。」 駄目だ。 なにを言おうとしても、パーカーの目が俺を睨んでくる。 あれ?このパターン、毎年同じじゃ…。 「で、でもね!戌の駿足なら、気付かれずに終わるよ!」 「悪く言えば、逃げ足が速いんだって。」 善村さんのフォローも、 典志っちの圧倒的圧力に完敗のようだ。 去年の被害者の圧力…きょわい。 「いってらっしゃい?」 紫のロングストレートヘアーから見える 典志っちの朝のアナウンサー並の愛らしい笑顔。 そして真逆のこのお声ぇ。 「っいってまいりますわ!」 涙が見られたくなくて、足音を荒く(心配してほしいわけじゃないけど) 玄関から出る。 戸を涙を拭きながら閉めた。 するとおやまぁ、嬉しい。 聞きたく無い言葉のオンパレードォ え? えだなぁ、語尾だけ声変わりしてるんですぅん。 …もういいや。 すぐに終わらそう。考えただけで気持ちが軽いよ。 ははは(棒読み) 決まった歩数で、 まったく同じ色と形のドアと隣り合わせになる。 テンションを上げるため、 スキップをすると、 缶を蹴る音が、 軽快なステップで奏でられる。 徐々に、 世界が黄色みたいに明るくなって、 自然と口角が上がる。 なんとなく横を向くと、朝日に照らされた、商店街が目に飛び込む。 うはぁーっ!すっごぉぉぉ! よく見る鳥が何匹も空を泳いでいて、太陽の光で、かすれてる家や、店。 「カメラ持ってこりゃ、良かったぁ~ ~ぅうわぉおおおおおんぅ!」 拳を固め、無念でいっぱいの遠吠えをする。 治らないなぁ…  この癖! まぁ、良いや。 さて、胸や腹ん中のモヤモヤが飛んでったし、 行くか!
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