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新人さんの部屋は、2階にあった。 俺の部屋や集まり場は、1階にあるし、 特に用は無いからあんまり来たことないなぁ。 見慣れた朱色のドアを目の前に、大きく深呼吸。 やっぱこの嫌なドキドキは、心臓に悪い。 夏休みの最後の日に宿題終わらす時みたいに、追い込まれたような気持ち。 何回も経験したんだけど、やっぱ慣れられない。 ほんの微かにただよう香り。 焼き立ての時の優しい香り。 「パンでも焼いてんのかな…。」 ここまで臭ってくるものなのか…? そういや、ここの人の名字はなんだろうか、 とドアの右上をほんの少し見上げた。 「…無い。」 付け忘れか? 「矯もミスるんだなぁ。」 めずらしい。 あんなに神経質で、ドA型で、ルール人間で、かたぶつで(以下略)の奴がぁねぇ。 まさかぁねぇ……はぁっ! すっかり忘れてた、ピンポンダッシュ! って、うわぁぁ! 手が勝手に押した! 鳴った! 鳴り終わった! やばやばい! ににぃに、逃げないと! って足がもつぅうぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
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