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ほんの少し歩きながら話を聞く筈だったんだけど、既に僕らは三本目の缶ジュースを半分飲んでしまっている。
「松本さん、いい加減なんかいってよ」
僕の言葉が聞こえたのか聞こえていないのか俯いたままただ、隣を歩く松本さん
。
「うーーん……」
困った……、せっかくの休みがこんな事でつぶれていく。
僕の予定では、まったりと寝て、起きたらマクドにいってビックマック食べて、本屋で立ち読みしてもいいなぁ。
それからDVD借りてきいの、夜中まで見て眠くなったら寝るみたいな。
でも……
「あのさ、こんな事してても埒あかなんし、さっきから聞いてっけど、今日は何しにきたんだよ」
「手紙……」
「手紙ってこの間の?」
「読んでくれた……」
「ああ、あれ。みたよ」
(ああ、やっと話が進む)
「え……とね、それでね……返事が聞きたくて」
(はぁ?返事?!)
「返事って……」
「やっぱり!!聞きたくない!」
今までの声の小さい人とは思えない声だった。
「松本さん、あのさ、あれ……」
「やっぱりいいです。つれ回してごめんなさい。じゃあ、また!」
「松本さーーん!」
取りつく島がないってこんなことをいうんだろうなぁ、またも脱兎のごとく彼女は走り去っていった。
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