第2景 ~桜……舞う~

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(間に合ったーー) 弾む息を抑えながら汽車のドアが開くのを待った。 (開くのおっせーー) 特に急いでる時は……ほんの数秒なのにより一層遅く感じる。 ブッシュ―と音を響きかせながらドアが開き、数人の乗客が足早に降りていく。 アナウンスが行き先告げているうちに乗り口のステップを昇り車内に進んだ。 (乗客は……この時間はすくないな) 今はどんな田舎でも交通の主体は自動車だ。 汽車を利用するのは学生か交通手段の少ない僻地のお年寄りぐらいのもん。 これが平日の昼間ならなおさら乗客は少ない。 (すっかすさじゃん、いつか廃線になるんじゃね?!……どうでもいいけど) 進行方向に向かって右側、入口近くに澄ました感じで座ってみた。 (堂々としてりゃ変に思われんだろう……多分) 今ごろになって学校をさぼった後ろめたい気持ちが湧いてきやがった。 (平常心……) MDプレーヤーのヘッドフォンを胸ポケットから引き出し、耳に捻じ込んだ。
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