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ふと、何かが僕の近くに落ちたような気がした。
(何かな?)
辺りを見てみた。
降り口(僕の隣)に立つK女の彼女の足元に男には絶対に縁のない白い物体が落ちている。
(マジ!?!)
たまたま曲と曲の間でヘッドフォンから何も流れてこなかったから気が付いてしまったけど……
妄想とシチュエーションは同じなんだけど落ちたものは《ナプキン》!?!
姉ちゃんがトイレに常備してるから存在と形は知っている。
けど、それをひろって渡すって僕にはハードルが高い。
凍りついたように僕の視線はそれから逸らせない。
(バツが悪いだろう―、俺にこれをどうしろと?!)
彼女は落したことも気付かず……ドアが開くのを待っている。
定期を握りしめながら。
(拾って渡すべきか!?それとも気がつかなかったことにするべきか!?)
僕の焦りをよそに汽車がゆっくりブレーキをかける。
キキィーーと甲高い音を立てながら駅に近づく汽車。
気がつかない彼女。
(どうする、俺!?!)
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