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「……じ…い…」
「……じゅんぺい……潤平……潤平!!起きないサイ!!!」
僕を呼ぶ声がはっきりしてきだした。
(……誰だよ)
半端に開いた目であたりがよくわからない。
ぼやけてピントの合わない視界。
黒ずんだ世界に相変わらず無駄に美人な亜矢子の顔。
(あれ、なんで亜矢子がいるんだ?汽車……じゃないのか!?)
「ここ……どこ?ってか、亜矢子 何してんだ?」
亜矢子の顔が心配から迷惑そうな表情へとみるみる変化する。
「あんたね、汽車の中で鼻血出して倒れたのよ!」
(いやいや、答えになってないって……)
「そこに、またまた私が携帯にかけたもんだから……」
(だから、なんでお前がここにいるんだっつーの?!)
はっきりし始めた意識で自分の状況を把握してみる。
多分鼻血を出して倒れたせいだろう、出血を抑えるため冷たいタオルが僕の首に当てられている。
それから座布団を即席の枕して横になっているようだ。
固い畳の上で横になっていたせいか、体が少し重い。
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