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どんな顔をしていいのかわからないし、とりあえず礼を言っとこうと思った。
“あ、ありがとうございました……”“いえいえ……何もしていないよ”とありきたりな言葉を交わす。
けどまあ、帽子を目深に下ろして答える彼を正直お節介だと思いながら見つめた。
それから亜矢子が駅員さんを呼びに行くと出ていってからも、ずっと近づくでなく入り口の近くの壁に座っている。
質問するでもなく、出ていくでもなく……
(なんでいるんだろう……)
気まずさと見知らぬ人と二人きりのこの空間に空気が張りつめる感じがしているのを感じているのはたぶん僕だけでないと思う。
「潤平!駅員さん読んできたよー」
引き戸が勢いよく開き、亜矢子がズカズカて上がってきた。
一気に空気が変わる。
昔から亜矢子のアクションは激しい。
まあ、そこが亜矢子のいい所なんだろうけど。
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