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結局、昼休みの点呼が終わると荷物を受け取りH高校を出ようとした。
かったるい応援も会いたくない同級生も面倒だし。
実はこの校内は僕にとって庭みたいなものだ。
だってさ、ここはご近所さんなんだなぁ……うちまで徒歩7分!
微妙に近い上、自転車だったら3~4分とこれまた微妙。
メインのグランドよりも小さいとはいえ、サブグラウンドも広い。
楓の並木の葉の色も濃緑へ移り変わり初めていい目隠しになっている。
サブグラウンド脇に部室棟があって、校外に出れる脇道があって。
「じゃ、目立つから別々出るってことで」
「おう!亜矢子、みつかるなよ」
そんなへましないっつーのと言ってヒラヒラ手を振り歩いていった。
他校の生徒もばらけだす。
(そろそろ行くか……)
「と、戸高くん!」
だれだぁ!?とかったるく振り返った。
M商業の赤紫のリボンタイを着けた女子生徒が三人、その一人が僕を呼び止めたみたいだ。
予想通り知らない顔で……
「だれ!?」
と心の声がダダ漏れしてしまった。
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