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「これ飲んで、もう帰ってくんねぇかな」
冷水をガリ勉男の前に差し出して、永田さんは冷たくに言った。
「今夜は本当にすまん」
後藤さんは、本当に申し訳なさそうに言う。
「後藤。しばらくは、連れ合いは無しで来い」
「すまん…」
ハッキリと言い切った永田さん。
あの、さりげない感じが好き。
すると、
「客に対して無礼な店主だな」
ガリ勉男が、ボソッと言うから。
永田さんはピタリと立ち止まる。
…やばい空気が流れた。
「悪いが俺は店主じゃないんでねぇ。はっきり言わしてもらうけど、さっさと水でもかぶってなぁ、頭冷やして帰れや」
怖いーっ!
私も後藤さんも、一瞬の重い空気に緊迫した。
泥酔いしたガリ勉男は、立ち上がったついでにグラスの水を溢してしまい、私はとっさにハンカチを出して拭いた。
その日はもう、永田さんは不機嫌の絶頂で露骨な態度。
あまりに鬼のような怖い顔に、私は声も掛けれずに、帰って行った。
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