1、突然の出来事

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「えぇっ!」 私は今、女将さんから、とてつもない言葉を聞いた。 「嫌ですよ、あんな永田さんと二人で店の切り盛りだなんて…」 私は深く溜め息を付いて、言う。 「大将が検査入院から戻ってくるまでの、ほんの一週間でいいから。二人で頑張って欲しいのよ」 「私が避けてる事、知ってる癖にひどい」 「お願いします」 そんな、両手で拝まれても、困る。 女将さんってば、調子いいんだから。 お願いしてる割には、ニヤついてるのが丸わかり。 仕組まれてないかって、思っちゃう。 「何が嫌だ。俺だって、おまえみたいな女と店の切り盛りだなんて、ごめんだ」 早速、現れた。 相変わらず、口が悪い。 いちいち、喧嘩売るような言葉を吐いてくるんだから。 ムカついてるんなら、せめて無視しろよって。 「全く、二人とも。素直じゃないねぇ」 女将さんの言葉に、私と永田さんは言葉が重なった。 「どこが!」 「どこが!」 「つくづく仲が良いんだから」 永田さんと二人きりだなんて、嫌に決まってる。 今だって、意識すると手元が狂っちゃうのに。 だから、必死で見ないように、嫌いなふりして、働いている。 本当は永田さんの事、好きなんだもん。 「で、いつからな訳?」 永田さんは、偉そうに腕組みをして、眉を八の字にして女将さんに訪ねた。 「今夜から」 「今夜のネタは届いてるの?明日のネタは?」 「大将が三日ばかり、問屋さんに仕入れは手配してあるから、一先ず三日間は心配無用」 「四日目からは、俺がやれって?」 「そういう事」 「分かった」
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