1、突然の出来事

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私がここで、働きたいと思ったのは、紛れもなく永田さんが、ここでお寿司を握って居たからなのだ。 まだ働く前に一度、助けてもらった事があって。 商店街の入り口付近で、私は道を訪ねられた。 でも、うまく説明できなかったら、たまたまシルバーの単車で横切った永田さんが、わざわざ降りて、上手に丁寧に私の代わりに道案内をしてくれて。 私がお礼をすると、こう言ったの。 「俺、そこの寿司屋で働いててさ。この辺、よく知ってっから」 その一瞬の出会いで、私は彼を好きになった。 どこの寿司屋だと思ったら「寿司処 みどり」。 数ヵ月すると、求人の張り紙がしてあって。 私は、その時に働いていたアルバイトを辞めて、「寿司処 みどり」でフルで働く事を決めた。 だから、こうやって一緒の空間で働ける事が、本当のとこ私にとってどれだけ幸せな事か。 あぁやって、常連客のお客さん達が永田さんを冷やかしながら、色々な出来事を私の代わりに訪ねてくれるから。 私は何もしなくても、彼の情報が聞けるのだ。 カッコいいな。 綺麗な顔してるな。 色白のうなじが、溜まんない。 キリっとした上向きの整った眉、一重まぶたの切れ長の瞳。 口唇もプクプクしてて、エッチな感じ。 時々口喧嘩した時に、流し目で睨み付けてられるんだけど。 実は、その時の表情が、溜まらなくゾクゾクして、カッコいいの! とにかく、人間だとは思えないくらいカッコいいの! 「おい、おまえ。さぼってんじゃねぇよ」 私の背後で聞こえる低い声。 振り返ると、薄目で睨む永田さん。 凄く近くで、言われて私はまた、心臓がバクバク。 「ふん!どいてよ!」 私は、知らん顔して熱燗を三番テーブルへ。 ビックリしたー!(照)
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