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「……はい、どうぞ」
「これ、抹茶大福ですか?結構好きなんですよね、僕」
「そりゃあよかったですねー」
刀で脅されたからか、雪菜は不機嫌そうだ。
沖田はそれに気づいているのかいないのか、ニコニコと嬉しそうにそれを受け取る。
そんな顔をみたら、こっちまで嬉しくなってしまって。
くっそー……得な性格してるよなぁ、まったく。
「雪菜さんも食べます?」
「いいんですか?それじゃあ、遠慮なく」
差し出された抹茶大福を、雪菜は受け取ろうと手を伸ばした………のだけど。
スッと上に皿を上げられ、手は空をさまよった。
「はい、あげました」
「…………」
…………what?
「これ、子どもたちの間で密かに流行ってるらしいんですよ。だから、僕もやってみたくて」
「つまり、沖田さんの脳みそは近所の子ども並だというわけですね」
「そんなこと言うとあげませんよ?」
「えっ、あっ、謝りますからください!!」
コロッと態度を変える雪菜は、やはりおもしろい。
沖田は雪菜にバレないようにクスリと笑うと、ひとつ大福をあげた。
今度はちゃんと、その小さな手に乗せる。
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