山崎 丞と迷子の話

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話はこうだ。 昨日の夜、原田は給料が入ったので、さっそく島原へ向かった。 普段なら永倉と藤堂……つまりお馴染み三馬鹿と一緒なのだが、その日はたまたま都合が合わず、平隊士をムリヤリ連れて行った。 そして、浴びるような酒を呑んだ。 それを止める者も今日はおらず、腹に入るだけの酒を呑んだ。 たくさんの酒を呑んでご機嫌な原田は、顔を真っ赤にして、千鳥足で店を出 「お客さん、お勘定をしてください」 られず、勘定を要求される。 「勘定~?おう、ちょっと待ってろ~」 酒臭い息とともにそう言うと、財布の中身を確認。 ………すると。 「………げ」 金 が 足 り な い 。 「お客さん?」 財布を見たまま固まってしまった原田を見て、店員は不思議そうにしている。 ヤバい、ヤバい、ヤバすぎる!!! 給料が入ったばかりだからといって、調子に乗りすぎたのだ。 仕方なく一緒に来た平隊士に助けを求めようとするが、いつのまに帰ってしまったのか、右を見ても左を見ても姿が見当たらない。 くっそぅ………この薄情者め!!! しかし、「奢ってやる」と胸を叩いて言ったのは他ならぬ自分だ。 奢ってもらう気満々だった彼らを責めるのは間違っている。 それにしても、先に帰るなんてひでぇだろ!!! 「………もしかして、払えないんですか?」 スッと、店員の目が細くなる。 あんなに呑んだ酒も、すっかり酔いが醒めてしまった。 その代わり、ダラッダラと汗が噴き出てくる。 「払えないんだったら……体で払ってもらいましょうか」 体で…………体で!!? まさか、アハーンウフーンなことをされるのか!!? あんなことやこんなこと、さらにはそんなことまで………。 ……………嫌だぁぁぁあ!!! 「ほら、行きますよ」 「やめろぉぉお!!!俺はそんなことやりたくねぇぇぇぇえええええ!!!!」 必死の懇願もむなしく……原田はズルズルと引きずられながら、店の奥へと連れて行かれたのだった。
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