新撰組というところ

4/9
719人が本棚に入れています
本棚に追加
/1635ページ
「よし、できた…」 しばらくしたあと、あたしたちはやっとご飯を作り終えた。 だけど、ここからが大変。 ご飯を大広間へ運び、部屋にいる隊士を呼びにいかなくちゃならない。 そんなときは……。 あたしは目的の人物を見つけると、素早く袖を握った。 もはや「握った」より「掴んだ」だ。 「原田さん!」 「げ、雪菜……」 この人は、原田 左之助さん。 新撰組1、2を争う超イケメン。 天然でKYすぎるのがキズだけれど。 正直、かなりもったいないと思う。 「まさか……」 「はい、そのまさかです。手伝ってください!」 ニコッと精一杯の笑顔で言うと、原田さんはハァッとため息をついて、 「わぁったよ」 と言った。 「やった!ありがとうございます!!」 「その代わり、今度……」 「お断りします」 「まだ何も言ってねぇじゃねぇか!!」 「どうせ……。『今度なんか奢ってくれ』とかでしょう?」 そう言うと、原田さんの顔が少しひきつった。 どうやら図星のようだ。 「とりあえず、お願いしますね!」 あたしは苦笑いしながらそう言うと、急いで隊士を呼びに言った。
/1635ページ

最初のコメントを投稿しよう!