本当は怖い話

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 ここに来て一年が経つ。不況という荒波に揉まれながら、なんとか、夢だった映像会社に就職することとなった。 入社してはじめの頃は、現場の空気や、先輩方の作業に、ついていくのがやっとだったが、このほどショートムービーの、プロデューサーに任命された。 「それで題材の方は?」 「ホラーだ。今のうちに、夏に向けたホラー作品を作ってくれ」 ホラー…正直、あまり得意な分野ではない。お化け屋敷も入れないレベルなのだが、入社一年で、この大役を逃す気はなかった。 「任せてください。必ずいい作品を作ってみせます」 そう意気込んだ俺は、より良い作品を作り上げるため、実際の心霊スポットに行くことにした。 そうして仕事が終わり、家に着いた俺は早速、彼女のリスタに電話した。 「というわけで明日の夜、連れて行ってくれないか?」 「O.K.じゃあ明日の夜迎えに行くね」 一人では怖くて行けそうにないし、デートにもなる。そう思っていた。
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