本当は怖い話

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ようやく入り口に辿り着いた。 噂によると、元は学校だったらしい。 うっすらと表面に見える壁の模様が、それっぽく見える。 「ちょっと雰囲気あるね」 「お、おう」 リスタの言葉に、なんとか反応しながら、俺は恐る恐る入り口を開けた。 中は真っ暗で、月の明かりぐらいしか照明はなく、懐中電灯が無ければ、全体像はわかりそうにない。 そうして入り口で周りを眺めていると… タッタッタッタッ 上から足音のような、音が……それも複数……… 俺は頭を上げて、天井を見ようとした。 ―――――ドン 視界が真っ暗になった。左腕が軽くなった。そして少しよろけながらも、俺は後ろを振り返った。 そこには、月明かりに浮かぶ綺麗な金髪が揺らいでいた。 身動きが出来ない衝撃を受けた俺は、エンジンの音が遠のいていくのを、黙って見過ごすしかなかった。 「あれ?人がいるじゃん」 「やっぱ有名なんだなここ」 そう話ながら、二階から降りてきたカップルが俺の前を横切り、帰って行った。
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