No Name

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「……」 しばらくの間、キーを叩く音が部屋に響く。 「打ち込んだぞ」 「わかった。ちょっと退いてくれないか、最後にパスワードを入力するから」 このパスワードとは、僕の承認なしに誰かが願いを叶えるなんてことがないように、念のためのセキュリティだ。 もしガイアが乱用されたら世界の滅亡も招きかねないから。僕が信用している人にしか使わせないつもりだ。 「よし、あとはエンターキーを押すだけだ。押したら世界は変わる。本当に大丈夫かい?」 僕は最後にアダムに確認をとる。 すると、アダムは緊張が溶けたかのようにフッと笑った。 「ゲームでセーブデータ消すときみたいだな」 「そんな簡単じゃないけどね」 久しぶりに見たアダムの笑顔に安堵しつつ僕はエンターキーを強く押し込んだ。
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